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資本の減少

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資本の減少の概要 [減資の方法の種類]

株式会社は、株主総会の特別決議(法309条2項9号)によって資本金の額を減少することができます。
 その際に株主総会で定めなければならない事項は以下のとおりです。

  1. 減少する資本金の額
  2. 減少する資本金の全部または一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
  3. 資本金の額の減少がその効力を生ずる日

資本の減少の方法としては、以下のものがあります。

No.
減資の種類
減資の内容
1 実質上の減資 現実に株主への払戻しなどで会社の資本を減少させる場合 資本金2000万円の会社が1000万円に減資し、減少した1000万円を株主に払い戻す場合など。
2 名目上の減資 欠損金の填補や利益配当の確保のため資本金の額を減少させる場合 資本金2000万円の会社が1000万円の欠損金を出した場合、1000万円に減資することにより、欠損金を相殺する。
 そのことにより欠損金がなくなるので、株主に対して配当を出すことが可能となる。
3 その他の減資 平成15年度税制改正による外形標準課税の適用外(資本金1億円以下)の効果を得るためや、法人住民税の標準税率を下げるためなど。

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資本減少の基本形

資本金の額を減少の話を下記のパターンにしたがって行いたいと思います。
 資本金2,000万円の会社が1,000万円の減資を行い、資本金1,000万円の会社となるケースを想定します。
 ただし、発行済み株式の数は変更しません。

例) 下記は資本の額2,000万円、発行済株式400株の会社の資本金の額を1000万円減少させる場合
資本の額のみ減少
  1. 株主総会の決議
    株主総会で資本金の減少の決議を行います。このときの決議は会社法第309条第2項第9号の決議、一般に特別決議と呼ばれる方法です。(※2の場合に例外あり)
    決議の際に定める事項は以下のとおりです。
    1. 減少する資本金の額
    2. 減少する資本金の全部または一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
    3. 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
  2. 債権者保護手続き(1)〜債権者への個別催告
     資本金の減少をする際には、会社に対する債権者を害するおそれがあるために、知っている債権者に対しては個別に通知して異議があるのであれば一定の期日までに異議を述べるように催告する必要があります。
  3. 債権者保護手続き(2)〜官報公告
     会社が債権者のすべてを把握しているならば、上記だけで事足りるのですが、会社が把握していなかったり、知らない債権者がいる可能性があります。(例えば、会社の不法行為による(過失を含む)被害者などがこれにあたります。)
     ですから、こういった人にも異議を述べることができることを知る機会を与えるために、官報公告をすることが義務付けられています。(「官報なんか普通の人は読まないよ」ということは考慮されていません。)
  4. 債権者保護手続きの例外
     上記(1)・(2)を行うのが基本ですが、会社によっては公告の方法を「朝日新聞」や「日本経済新聞」などの時事を掲載する新聞(要するに一般の新聞)に掲載して行うことを定めている会社があります(上場会社に多いです)。
     こういった場合は、一般の新聞に公告することに重ねて官報でも公告を行うことにより、債権者に対する個別の催告を省略することができます。
     中小企業であれば、一般の新聞への広告掲載はとても高額なのであまりしないと思いますが、上場企業や債権者が非常に多くいて、個別の催告をするほうが大変な企業などはこちらのほうが有利な場合もあるでしょう。
     しかし、その場合でも官報の公告は省略できません。

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減少した資本金の処理

最初に挙げた資本金の現象の種類ですが、基本的な手続きは変わりません。違いは、減少した資本金の処理のしかたにより分類しているに過ぎません。

No.
減資の種類
減資した額の処理
その効果
1 実質上の減資 株主への配当など 会社の純資産が減少する。
2 名目上の減資 欠損金の填補 会社の純資産は変化なし。(すでに欠損金が出ているため)
 欠損金が資本金の減少と相殺されるため、欠損金がなくなり株主に配当を出すことができる。
3 その他の減資 準備金になどにする。 資本金が準備金に名前を変えるだけなので、減資の時点では純資産の変化はない。

今回のケーススタディでは、3の場合減資をしても会社の純資産は変化しないため、1株当りの純資産も換わらないことになります。
 そのほかの場合は1株当りの純資産が減少します。

いずれにせよ、会社の概観上の規模が縮小されるので、どの場合でも債権者保護手続きは必要となります。
純資産が変化しない3の場合であっても、留保しなければならない資本金から散逸しやすい準備金となってしまうからです。

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株主総会特別決議の例外

資本金の減少を株主総会で決議するには、特別決議(法第309条第2号第9号)が必要ですが、上記2の場合の「名目上の減資」の場合で、分配可能額が発生しない場合には普通決議で足りるとされています(同条第2号第9号カッコ書)。
 これは、すでに発生している欠損金を穴埋めするだけなので、特別決議まではいらないだろうということだと思います。
 その場合でも債権者保護手続きは当然省略できません。内輪の話と対外的な責任は別物だからです。

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債権者保護

債権者は一定期間内に資本金の減少に対し、異議を述べることができることが定められており、その内容は以下のとおりです。

  1. 具体的手続
    1. 減資を行う会社は知れたる債権者に対し、その内容を明らかにして資本金の減少に異議を述べるかどうかの催告をしなければならない
    2. 資本金の減少をする旨など以下に掲げる事項を公告しなければならず、その申出期間は1ヶ月を下ることが出来ない。
      要するに公告してから1ヶ月以上は資本金の減少をしてはいけないということです。
      その公告すべき内容は以下のとおりです。
      1. 資本金の額の減少の内容
      2. 会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの(会計規則152条)
      3. 債権者が一定の期間内(1ヶ月以上)に異議を述べることができる旨
  2. 債権者が異議を述べた場合
    会社は債権者に対し、以下の対応を要する。
    1. 弁済
    2. 相当の担保の提供
    3. 弁済を目的とした相当財産の信託

1は債権者に対して弁済する。すると債権者は債権者でなくなるのでもうそれ以上異議は述べられない。
 2は債権に対する担保を提供すれば、一応債権者の債権は保全されるので、会社合併により会社の価値が既存したり左前になってもその担保から弁済を受けられるので、それ以上異議を述べるなという理屈ですね。

3はちょっと複雑で、異議を述べてきた債権者と資本金の減少をしようとする会社で、1の弁済も2の相当の担保提供もうまくいかなかったために、第三者に相当財産を信託するというパターンで、要するにもう債権者とちょっとトラぶっている状態です。
 下の図のように信託業者と信託契約を締結することで債権者保護をしたことになり、資本金の減少登記には信託契約書の写しを債権者保護手続の完了を証する書面として添付して申請します。

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