定款作成のススメ(新会社法に適合する)
会社法元年 定款自治の拡大
平成18年5月1日、会社法が施行されました。ここ数年毎年度重なる、それもかなり大掛かりな商法改正を重ねた結果、商法の規定自体に矛盾が生じたり、意味合い的に重複する部分などが増えました。
その結果、非常にわかりづらいものとなっていったことを受け、条文の整理と共に、制度・規定自体も整理し、何種類もあった手続をなるべく一本化するようにし、シンプルな法体系を目指したものとなりました。
そして、このたび大きな流れとして、規制緩和・定款自治の基本的な方針で立法化されました。そのため、各会社にとって定款が非常に重要なものとなったわけです。
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問われる会社の自主性・説明責任
ただ、そうは言ってもすべての会社が会社法に適合した定款を作成することを義務付けられているわけではありません。
日本の法律はとても親切で、「お上の都合で変更したものは、極力民間の手を煩わせない。」とばかり、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下整備法)」によって、会社法の基本(標準・デフォルト)と違う旧商法の規定はみなし規定により、「定款に記載されていなくても記載されているものとみなす」として、大半を維持しました。
ゆえに、特に規定を変更しなくても強行規定・例外規定以外はめでたく会社は"会社法"の規定の中で生きていくことができるというわけです。ただし、会社の実際の運営規定と会社に保存されている定款が食い違うということを除いて、ということです。
ところがこれは、株主から「定款を閲覧したい。」とか、銀行から「現行定款の提出」を求められた時に、困った事態となります。
みなし規定や会社法の規定と違う定款でも会社法違反となるものではないのですが、違う部分については逐次説明責任がともなうものとなり、事務処理が非常に煩雑なものとなります。
特に、"株券に関する定め"や"監査役の監査権限"などは、定款に記載されていなくても記載されているとみなされる規定のため、みなし規定をもって記載されたものと扱われるので記載されていないのか、定款変更をして規定を削除したものなのかが、第三者にはまったく判らず、また会社側としても誤認しがちな事項といえます。
これは、旧商法と会社法の標準的な規定が正反対なものになったために起きる現象です。
たかが定款。…されど定款。
会社にとっては「憲法」とも言える定款なのですが、旧商法時代は法定の規定が多く、会社自身が規定できるものが少なかったため、文房具屋で購入した定款書式に穴埋め的に記入すると「一丁上がり」的な定款も多く見受けられました。
しかし、このたびの会社法は規制緩和の流れを受け、非常に多くの規定が設定可能になったのですが、その分多くの事項を記載する必要性が発生したわけです。
大会社だけでなく、同族会社だからこそ
「うちは同族会社だからそんなたいそうなものは…」といわれる社長もいますが、会社法施行後、金融機関から定款の提出を求められるケースが多く見られます。
また、Webの情報やや各種会社法の指南本などから会社の定款の作成をしたものの、特に変更の必要性のない条文を雛形どおりに変更したため、これが変更登記が必要になってしまったケース。
さらに、ある規定を定めることにより、相対的に規定すべき条文を規定しないなどのケースを多く見受けます。
会社法における定款は、自由度が高い分相対的に定める必要がある規定が多いのです。
それに、同族会社だからこそ活用できる規定もこのたびの会社法には多く存在し、会社法は旧商法のように大規模な会社を基準にした規定だけでなく、中小会社など会社の規模の応じた規定を設けることを可能にしたものとなりました。
会社法を生き抜くための武器としての定款
今年の6月の株主総会で、定款変更は一つの流行のように盛り込まれていました。大手企業、上場企業で会社法に対応する定款変更を行わなかったところは皆無といっていいでしょう。
それは、なぜか?
規制緩和・自由度が増している会社法の裏返しとして求められる、経営責任、コーポレートガバナンス・コンプライアンスの強化を求められる今の時代を生きるための武器として定款を使うためです。
最低資本金制度廃止、役員任期の延長、設置機関の柔軟化など規制緩和の流れの中、実質面における株式会社の再分類化が近い将来起こる可能性があります。
商法時代のように「有限会社は資本金300万円以上、株式会社は資本金1000万円以上でおよそこういった体制の会社」といった大まかな区分が通用しなくなるのです。
株式会社や(特例)有限会社であっても、「資本金1円以上、取締役1名以上の物的会社」といったことくらいしか類推できず、その実質を見て(内部的に)分類する時代が来ることが予想されます。
そういったときに、役員変更登記も懈怠し、定款の整備も出来ていないではかなり歩が悪くなることがありうると思います。というより、一部融資関連ではもうおきているといえます。
定款作成(変更)時の留意点
では、会社法に適応した定款を作る際にどういったところに注意が必要でしょうか?
主だったところは以下が考えられます。
- 登記事項となるもの(変更登記が必要)
- 商号 -- 類似商号制度が廃止になったため
- 目的 -- 同上 及び目的の具体性の審査が不要になったため
- 公告の方法 -- 日刊新聞に掲載するより、官報・電子公告のほうが安価。
- 株券の発行 -- 実際に発行していないのであれば不発行規定のほうがベター。
- 株式譲渡制限 -- 譲渡のみでなく取得についても制限が可能に。他、様々な規定可能。
- 役員の免責事項 -- 取締役、監査役、会計参与等の責任の範囲を限定できる。
- 社外取締役等の責任制限 -- 社外取締役の賠償責任を限定する契約の締結規定。
- 登記事項とならないもの(変更登記は不要)
- 相続人等に対する株式売渡請求 -- 相続による株主の分散を防御。
- 売主追加請求権の排除 -- 非公開会社の自己株式取得時の自己を売主に追加する請求を排除。
- 監査役の権限範囲 -- 非公開会社は監査役の監査権限を会計に限定できる。
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