特例有限会社 
既存の有限会社の定義
会社法施行前までは「有限会社法」によって規定されていた有限会社。
会社法施行と同時に廃止され、有限会社は「特例有限会社」と名を変え、株式会社に統合されることで存続が認められました。
しかし、登記簿上は商号の表現が変わることはなく「○○有限会社」と表記されますが、その実態は「有限会社を名乗る株式会社」という少々紛らわしいものとなっています。
理由としては、会社法において株式会社の「最低資本金制度」が廃止されたこと、「取締役会」や「監査役」といった機関が任意設置機関になったことなどにより、既存有限会社との差異がほとんどなくなり、有限会社の存在理由が希薄化したためとされています。
特例有限会社と株式会社の主な違い
とはいえ、特例有限会社が通常の株式会社と全く異なるところがないかというとそうではありません。
既存の有限会社が法施行以前と同様の運営ができるように、『会社法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(以下整備法と呼ぶ)』が規定されました。
違いは以下のような元となっています。
| 特例有限会社 | 株式会社 |
|---|---|
| 株主が総会を招集するためには、議決権の1/10が必要(整備法14条1項) | 3/100以上の議決権を持つ株主が取締役に対して招集を請求できる。(法297条第1項) |
総会の特別決議の要件 総株主の半数以上が出席し、出席株主の議決権の3/4以上の賛成を要する。(整備法14条3項) |
総会の特別決議の要件 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の1/3以上の賛成を要する。(法309条2項) |
設置 可 ---- 監査役 設置不可 ---- 取締役会、会計参与、監査役会、会計監査人、委員会 |
すべて設置可能 |
監査役・取締役の任期 任期については制限なし(整備法18条) |
取締役 ---- 原則2年(10年まで伸長可能)(法332条) 監査役 ---- 原則1年(10年まで伸長可能)(法336条) |
| 計算書類の公告(決算公告)の義務なし(整備法28条) | 事業年度ごとに計算書類の公告の義務あり(法440条) 公告を怠ると100万円以下の過料(法976条2号) |
会社法施行時のみなし事項
会社法施行・有限会社法廃止に伴い、定款に記載されているとみなされる事項が以下のとおり規定されています。
| 旧 有限会社 | 特例有限会社 | 法令 |
|---|---|---|
| 社 員 | 株主 | 整備法5条 |
| 持 分 | 株式 | |
| 出資一口 | 一株 | |
株式譲渡制限の規定 なし | 株式譲渡制限の規定 株式を譲渡により取得することについて当会社の承認を要する。当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては当会社が承認したものとみなす。 | 整備法9条1項、42条4項 |
既存有限会社の株式会社への変更登記
特例有限会社を通常の株式会社とするには、「○○株式会社」とする商号変更の決議を株主総会において決議して、登記をする必要があります。
その際に必要な登記は、以下の登記です。
- 商号変更後の株式会社についてする設立登記
- 特例有限会社についてする解散の登記