権利書(登記識別情報・登記済証)を紛失したとき
更新権利書(登記識別情報・登記済証)とは?
登記をするについて、重要な登記(所有権移転や抵当権設定登記など)については、申請人の本人性を確認するため、いわゆる権利書、正確には登記済証または登記識別情報と呼ばれるものが必要になってきます。
登記の際にこれらの書類がないと登記所は「本当にこの登記は所有者が申請をしようとしているのか?」ということが確認できないので、登記を受け付けてくれません。
ところがこの権利書(登記済証)または登記識別情報は、盗難、焼失、紛失などいかなる理由においても再発行されません。
「じゃあ、権利書をなくしたら売却も出来ないし、担保に入れてお金も借りられないの?」ということになってしまうのでしょうか?
登記所が行なう事前通知
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いくらなんでもそんな乱暴なことにはなりません。
そういった場合は登記申請書に権利書を付けられなかったこと及びその理由を書いて登記申請書を提出します。
そうすると程なくして申請人の住所に登記所からの問い合わせの郵便物が来ます。
これが「事前通知制度」と呼ばれるもので、主に本人限定受取郵便などが利用されています。
この事前通知に添付されている「回答書」に実印を押印して登記所に申し出ることにより、登記識別情報を提供しなかったことを補うのですが、その期限は「登記所が事前通知を発したときから2週間以内(海外在住者は4週間以内)」であることに注意が必要です。通知が到着してから2週間ではありません。
この期間内に申し出をしなかった場合、その申請は却下されてしまいます。
却下された「所有権移転登記」の後に「抵当権設定登記」などを連続で申請していた場合、ちょっとやっかいなことになってしまいます。
連件事案の特別な事情(1)
不動産の購入の際、その購入物件を担保に購入資金を借り入れることはごく一般的に行なわれていることです。
その場合、所有権移転登記と一緒に抵当権移転登記を同時に申請するのが一般的です。
なぜならば、そうすることにより、お金を貸す銀行は新所有者に名義が変わった途端、間髪入れずに抵当権の設定が出来るので、債権の担保がより確実になります。(一旦所有権移転登記が完了してから改めて抵当権設定登記を申請すると、他者に先に抵当権設定登記を申請されるおそれがあるからです)
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ですから、左の図(クリックすると拡大)のように、
〔1〕所有権移転登記
〔2〕抵当権設定登記
と2連件するのが本来なら一般的です。
しかし、売主の権利書等が無く、2件目の抵当権設定の抵当権者が銀行のような金融機関だったりすると、この方法はまず採りません。
実務上、非常に不都合なことが起こりうることが考えられるからです。
それはどんなことでしょう?
連件事案の特別な事情(2)
ここでの、ポイントは先述した「登記所が事前通知を発したときから2週間以内に回答しないと登記が却下になる」ということです。
連件で所有権移転と抵当権設定を申請するということは、「1件目の所有権移転登記がちゃんと完了して、新所有者名義になる」ことを前提に「2件目の抵当権設定登記」が申請されているのです。
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ですから、右の図(クリックすると拡大)のように事前通知の回答がなされなかったり、期限に間に合わなかった場合、1件目の申請は却下されてしまいます。
となると、不動産の名義は買主(この図ではA)にならないため、Aを設定者(抵当権の担保を差出す人のこと)とした抵当権設定登記はAの申請不適格(申請人の地位がない)ということで当然却下となってしまいます。
所有者としての名義がないAは、その後の抵当権設定の設定者となることができないのです。
もし、このときに売買契約時点で銀行が融資を実行していたら、銀行は大慌てです。
抵当権を設定して担保があると思ったからこそお金を貸したのに、その抵当権の設定ができないとなると、その債権は「無担保債権」となってしまい、返済が焦げ付くとパー(に近い)になってしまいます。
かといって、抵当権設定登記をするためには所有権移転登記をしなければならない。
でも、代金ももらわないうちから所有権移転登記をすると、その後売主・買主間でトラブルが起きて代金受領できなくなったりすると、売主(ここではB)は代金ももらえず、登記名義だけAに変わってしまうということになるので、そんなことは承服できません。
となると、権利書(登記識別情報)がない不動産は事実上売却がかなり難しくなります。現金で買う人ぐらいにしか売ることができないからです。
資格者による本人確認情報
そんなことでは、不動産の資産価値が著しく低下しますし、経済活動にも支障をきたします。
これを補うのが、「資格者代理人による本人確認情報」という制度です。
登記手続きを行なう代理人が、「この不動産(船舶)はこの人の所有で間違いありません」という旨の書類(情報)を登記申請書に添付するのです。その資格者は以下のとおりです。
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士(船舶の登記)
- 弁護士
というのは、この本人確認情報、虚偽の情報を登記所に提供すると「2年以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰の対象だからです。
過去に司法書士が虚偽の本人確認情報を提供して実刑を受けた事件もありました。
ですから、その本人確認はある程度期間をいただかないと難しいことが多いと思います。
取引の当日になって「権利所がない!」といったことになっても、なかなか本人確認情報にて手続を続けるということはかなり難しいと思います。(司法書士・土地家屋調査士などは事前に権利書の有無は必ず確認するとは思いますが…)



